Category Archives: 内視鏡下椎間板切除術(MED:microendoscopic discectomy)

MED(microendoscopic discectomy)

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内視鏡下椎間板切除術:内視鏡下に脱出した椎間板ヘルニアを切除する方法。

1997年にFoleyとSmithらにより開発・発表され、2001年ころ日本に入ってきてきた。現在もっとも普及しているのはMedtronic Sofamor Danek社のMETRx Systemである。直径16mmまたは18mmの円筒形の筒を背中に設置して、その中に内視鏡であるカメラをいれて手術を行う。カメラに映し出された手術部位の映像をモニター確認し、神経をよけて飛び出た髄核(ヘルニア)を摘出するといった方法である。

脊椎内視鏡下手術では、術後の腰痛や出血が少ないため早期の離床とリハビリが可能となる利点がある。

大きいヘルニアが痛いわけじゃない

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「こんなに大きなヘルニアはなかなかありませんよ。ここの椎間板がでっぱって、後ろの神経を押しているでしょう。」と、医者に説明されるかもしれない。患者さんは驚き、MRIに映し出された巨大なネルニアを覗き込み眼球をまるくさせるだろう。

確かにMRIに映し出されたような巨大な腰椎椎間板ヘルニアでは、神経が圧迫する可能性は高くなる。

 

しかし、大きくても症状がないことすらありうる。なぜなら、 痛み生み出す神経根を圧迫していないからである。

「大きなヘルニアがあるのになんともない。」そんなこともありえるのである。

そして大きなヘルニアは、あれほど痛かったのにケロッと治る、ということがありうる。今までの激しい痛みが、ある日突然まったく症状がなくなり、痛くもかゆくもなく平気になるのである。

これは、大きいヘルニアほど後縦靭帯というバリアーを破り、脱出タイプ(sequestration)に移行して神経を圧迫しない状況になりやすい。 また、マクロファージのような貪食細胞を誘導してヘルニア塊の分解・吸収が進みやすいと考えられている。

事実として入院した手術前日にまったく痛みがなく、手術中止となった患者さんを何人か経験している。

やはり椎間板ヘルニアでは、ヘルニアの大きさより、いかに神経を圧迫していることが重要である。ヘルニアが大きいと説明されても、悲観する必要はないかもしれない。